社協ブログ
【社協活動】シンポジウム「共助でつながる自治会が地域社会の未来をひらく」開催レポート!
2024-06-24
6月15日(土)、メイプルホールにてシンポジウムを開催し、318名の方が参加しました。
今回のシンポジウムのテーマは、向こう三軒両隣のご近所づきあいを育む「自治会」です。
箕面市の自治会を考える会、箕面市、社協の三者共催で開催しました。
【第1部 講演】共感でつくる共助社会
シンポジウムは、大阪大学 大学院経済学研究科の堂目卓生教授の講演「共感でつくる共助社会」からスタートしました。
「共感」とは、誰もが持っている、他者と響き合う心の動き。堂目先生は、この「他者」を生物や地球も含めた「いのち」と表現されました。「助けを必要とするいのち」と「助けるいのち」は、「助けが必要な、いのちを助ける」という一方向ではなく、心を通わせることで「共感」が生まれ、助ける側も助けられている(「心の壁からの解放」)といった共助関係にあると話されました。
経済学から見ても、現代の共助社会を支えるには「共感」がベースにあるそう。経済とは財やサービスの供給ですが、それは決して一方向ではなく、互いの支え合いで成り立っています。
自治会は、地域住民の共感を育み、地域の「いのち」を支え合う組織。人々が生きていくため、財やサービスを出し合い「いのち」を支え合う。私たちは「共助社会」の担い手であることに気づくことが重要だと話されました。
【第2部 スペシャルトーク】学生と考えるご近所づきあい
第2部は、追手門学院大学4回生の菅野咲月さんと、船場西地区連合自治会々長の岩下隆さんによるスペシャルトークです。
菅野さんは、大学の舞台プロジェクトに所属し、ご近所づきあいをテーマにした演劇『Home』の脚本を手掛けました。近所に住む上京した大学生、母子家庭でヤングケアラーの女子高生、父の帰りが遅い父子家庭の小学生が、互いの家庭問題への葛藤を抱きながらも寄り添う、ご近所づきあいをテーマにしたお話です。シンポジウム開始前、特別上映会も行いました。
スペシャルトークでは、そこに込めた思いを語られました。
両親は共に就労、祖父は自治会長という家庭で育った菅野さん。振り返ると、ご自身が育った地域はみんな仲が良い町だったと話されました。家に誰もいないとき、ご近所の方が家にあげてくれ、食事を作ってくれたそうです。
そんな菅野さん。今回の脚本づくりをきっかけに、仲間とともに改めて「もっとご近所に目を向けていかないといけない」と感じたそう。「でも、ご近所づきあいは強要するものではない。みんなが幸せに生活するきっかけづくりなんだと思う。」と話されました。
【第3部 パネルディスカッション】共助でつながる自治会が地域社会の未来をひらく
第3部はパネルディスカッション。神戸学院大学准教授の川本健太郎先生進行のもと、市内で自治会活動を行う4人のパネラーに活動や思いをお話しいただきました。
まずは日商岩井箕面ハイツ自治会長の坂 渚さん。小・中学生のママで、フルタイム勤務です。
自治会役員になったのは、当番で回ってきたことがきっかけでした。その後会長になり、現在3年目です。
自治会で活動するにつれ、自治会に魅力を感じるようになったそうです。
「これまで日々の生活は自分たちだけでできると思っていた。でもそれは勘違いだった。地域を掃除してくれている人がいた。近くのお地蔵さんのお花もいつもきれい。美化、防犯、マンション整備、誰かが助けてくれていた。」さらに、「自治会は、近所の知らない人同士が年齢を超えて友達になれる。子どもの見守りネットワークができる。そして面倒を超えた楽しさや喜びに出会える!」
そのことに気づいたとき、「周囲に住む人のためにできることをやろう」と自然に思えたそうです。
「入らなアカンではなく、入りたいと思う自治会を目指したい!」と魅力たっぷりにお話されました。
続いて、箕面森町にあるピースガーデン自治会々長の川瀬竜一さん。
ピースガーデンは新しい戸建住宅の町で、自治会発足は2018年。20~50代の居住者が多く、会長も働き世代です。
川瀬さんは、くじ引きで会長になりました。しかし、自治会は何をする組織か分からず大苦戦。当時はコロナ禍でほぼ活動できず、このままフェードアウトか・・・と思ったところ、突然やる気スイッチが入ったそうです。
なぜスイッチが入ったかは、覚えてないくらいささいなことでした。「公共の場や公園の使い方、ゴミステーションの老朽化といった問題に対し、『この問題、何とかできへんの?』と聞かれたことだったかな・・・」と振り返ります。
でもその後、自治会は行政とのやりとりや防災のためにも必要だと思い立ち、継続可能な自治会運営に乗り出します。
共働き世帯や子育て世帯が参加しやすいよう、作業的なこと、時間的な拘束を減らすことを第一に考え、SNSの活用や回覧・配布物のオンライン化を進めました。でも、人とのつながりをつくるイベント開催は大事。でもボランティアで活動者を募るには限界があると考え、協力者には報酬を出すなどの検討を行いました。
オンライン化はみんなが参加しやすいツールです。でも、使い辛い人や対面での話が必要な場合には、会長・副会長さんが個別に動いているそう。
「住民に『自治会に参加したい』『このコミュニティに関わりたい』と思ってもらえる自治会を目指したい!」と語られました。
最後は、18棟の9階建てマンションからなる、ルミナス箕面の森自治会の発表です。ルミナス箕面の森自治会は、進行の川本先生は「エッセンスのかたまり」と表現されていました。
まずは会長の水上登志夫さんから、様々な世代、様々な団体が一緒に企画・交流できるイベントの開催、防災への取り組み、そして最近では近隣自治会と連携した阪急バス路線再編問題への取り組みなど、数々の活動発表がありました。
そこまでできるのは、ルミナス箕面の森は、自治会を真ん中に置き、青少年を守る会、コミュニティセンター、地区福祉会、民生委員・児童委員、子ども会、地区防災委員会等様々な地域団体が参画する「ルミナス連絡協議会」を設置し、日頃から連携体制をとっているのが大きいところ。またルミナス内だけでなく、周辺自治会とも有機的なつながりを形成し、一緒に課題解決に向けて動いているのが特徴です。
そして、ルミナス箕面の森の発表に一緒に参加されたのは、自治会員の清水和政さんです。
清水さんは日頃、登校する子どもたちの見守り活動をされています。そのような中、近所のつながりに助けられたエピソードを語られました。
清水さんは、1~2月頃、脳内出血で倒れたそうです。
倒れた際、「おかしい」といち早く気づき、救ってくれたのはご近所の活動仲間です。清水さんはその後入院し、しばらくして無事退院しましたが、今度は記憶障害で自宅の郵便ポストや銀行口座の暗証番号がわからない、郵便局がどこにあるかわからないといった状態になり、自分のいるところが日本だとは思えない感覚に陥ったそうです。でもそんな時、助けてくれたのはやはり近くの仲間でした。本当に感謝しているとお話しされました。
パネルディスカッション後半は、第1部講演の堂目先生と第2部スペシャルトークの菅野さんも加わってのトークでした。
堂目先生は、「社会にとって『共感』は必要だと改めて感じた。『ありがとう』という気持ちが持てればそれだけで幸せ。それが生きていくことだと思う。」と話され、菅野さんは「今日の話を聞き、もともと自治会活動をやろうと思っていたわけではなく、半強制で始めた場合であっても、活動することで魅力を感じることはある。強制は良くないが、時にはそういう入り方もあっていいと感じた。」と話されました。
進行コーディネーターの川本先生は、
「どの発表にも『他者を思いやる行動』があると感じた。それは、若い世代も引きつける魅力がある。日常的につながりを持ち、顔見知りの関係を築くことで、有事の際も助け合いができる。『愛』の反対は『無関心』。堂目先生から『共感』の話があったが、共感の第一歩は他者に関心を持ち、愛情を持って向き合うことだと思う。自治会活動もそこから始まる。」と語り、「他人に優しくする大人の姿、こういう大人に見守られて育った子どもが暴力を振るうことはない。自治会は『愛を育む一つの装置』だと言える。」と語られました。
<来場者の感想を紹介します>
・自治会を運営する若い世代の言葉が新鮮で頼もしかった。
・自治会の必要性を感じた。これからの自治会にできるだけ参加したい。
・自分も自治会長になってみようかと思った。
・「自治会は大変」「役が嫌だ」と思っている人にこそ、参加してもらいたい内容だった。
シンポジウムに参加し、ご近所のつながりや自治会の良さを改めて感じてくださった方が多く、登壇いただいた皆様に感謝いたします。
社会福祉協議会では、これからも箕面市の自治会を考える会や箕面市とともに、地域のつながりの基盤となる自治会の魅力を発信していきたいと思います。
ご自身の自治会でつながりづくりの取り組みを進めたい、自治会を考える会の活動に参加したいという方は、ぜひ下記までご連絡ください。
地域福祉推進課 担当:畑中
電話072-749-1575